本当は怖い、妊婦の「冷え性」

現代女性の約半分が「冷え性」といわれ、便秘やむくみの原因とも言われています。久保田産婦人科麻酔科医院(福岡市中央区平尾)の久保田史郎院長に妊婦の冷え性の問題点、その対策についてお話を伺いました。

低出生体重児の増加、冷え性が原因か!
お腹の張りや便秘、頭痛、肩こり、足のむくみなどを訴える妊婦さんが増えています。これらの体調不良の原因の1つが冷え性です。何らかの原因で手・足の血管が収縮し、各臓器(腸・腎臓・子宮など)を流れる血流量の減少が体調を悪くします。特に妊婦の冷え性には要注意です。冷え性は母親の手足の血流が悪いだけでなく、胎児に栄養・酸素を運ぶ子宮胎盤血流を妨げたり、子宮収縮を起こしたり、場合によっては最も怖い胎盤早期剥離につながったりすることがあるからです。近年、日本では低出生体重児が増えていますが、冷え性の女性が増えたことと無関係ではない様です。妊婦の体重増加は栄養摂取量と消費量のバランスで決まります。しかし、胎児の発育は主に子宮胎盤血流量の多少に影響されます。母親が栄養を十分に摂っても、慢性的な睡眠不足や喫煙などが原因で子宮胎盤血流量が減少すると胎児発育は遅れ低出生体重児の増加につながります。

妊婦の冷え性防止に生活習慣の改善と水中散歩を!
久保田産婦人科麻酔科医院では妊婦の冷え性対策や妊娠高血圧の予防のために水中散歩を取り入れています。水の力(水圧と浮力)を応用した水中散歩は、手足の血流のみならず全身臓器の血流増加によって体調不良を改善します。全身のすみずみまで温かい血液(37℃)を流れやすくする工夫(水中散歩・睡眠・栄養など)によって冷え性を完治します。妊婦が水中散歩をすると尿がたくさん出てむくみが取れ血圧が下がります。水中散歩には腎血流量を増やし妊娠高血圧症を予防する働きがあります。同様に、子宮血流量が増え子宮の張りがやわらぎ、早産・胎盤早期剥離を予防します。その他、消化管、脳、四肢など全ての臓器の血流が良くなることで、頑固な便秘、頭痛、肩こり、下肢静脈瘤なども驚異的に改善します。
女性の社会進出とともに冷え性で悩む妊婦さんが増えています。冷え性は過労、睡眠不足、タバコ、ストレス、痩せ、栄養不足、デスクワーク(PC)、運動不足などが原因です。冷え性は万病の元、特に妊婦さんは生活習慣を見直し、冷え性から胎児を守って下さい。

リトル・ママ8月号 より
久保田史郎 7月26日2009年