(2)赤ちゃんの一日当たりの必要エネルギー

 赤ちゃんの栄養管理でなにが重要であるかは、わが国の小児科の教科書などでは次のように記載されています。『新生児が急速に発育しなければならない時期に、正しい栄養が十分に与えられて適切に発育するか否かが、新生児期以降の体格や知能の発達に影響する。』 赤ちゃん(正常成熟児)の新生児期の一日当たりの必要エネルギーは120Kcal/kg/日、基礎代謝(動かない状態で最少のエネルギー)は約50Kcal/kg/日とされています。120Kcal/50Kcalを母乳または人工乳の量に換算すれば、体重3kgの赤ちゃんでは、それぞれ550ml/230mlに相当します。

 当院の超早期経口栄養法では、出生初日の赤ちゃんのカロリー摂取量は平均で約55kcal/kg/日で、生後3〜4日目では平均90kcal/kg/日です。1995年の新生児学会誌(草川ら)では、生後3日目における初産婦の平均母乳分泌量は、同じ時期の経産婦の約1/2で、約66ml/日であるとしています。つまり、生後3日目の完全母乳の赤ちゃんの摂取カロリー量は初産婦で約15kcal/Kg/日、経産婦で約30kcal/Kg/日となります。これは必要とされる基礎代謝量(50kcal/Kg/日)の約1/3〜2/3の量です。このデータからは、生後から少なくとも3日間は完全母乳の赤ちゃんは極端な栄養不足状態(飢餓状態)となっていることがわかります。                   
 このカロリー不足が、完全母乳の赤ちゃんの出生後の極端な体重減少や重症黄疸の原因となっています。また生直後から母乳以外のものはいっさい飲ませないとする哺育方針では、脱水や胎便排泄の遅延はもちろんのこと新生児低血糖症や新生児出血症(脳出血)が発症する可能性も高くなるのです。
新生児のエネルギー必要量(Kcal/kg/日

基礎代謝      ・・・・・・・・・・・・ 50
身体運動 15
体温調節 10
special dynamic action 8
便・尿中喪失 12
発育 25

合計 120 Kcal/kg/日

(Sinclair,J.C. : Pediatr. Clin. North Am., 17:863, 1970. より引用)