リビング福岡 11月17日掲載記事

質問
生まれた直後の赤ちゃんを温めると、黄疸が出ないのはなぜですか?

解答

 先月も黄疸が話題でした。赤ちゃんを暖めただけで黄疸が出なくなるのではありません。子宮内の環境温度は約37.5〜38度ですが、分娩室は約25度です。そのため分娩直後の赤ちゃんはこの約13度の温度差を寒がって青白くなります。このとき赤ちゃんの皮膚の血管は収縮して血液が流れにくくなっていますが、この血管収縮は胃や腸などにも起こり初期嘔吐などの哺乳障害の原因となっています。

6〜8時間も続き、その間は飲ませても吐くため、糖水やミルクは生後8時間目ごろから始めるのが一般的です。

 出産直後の赤ちゃんを32℃〜34℃の保育器に収容し徐々に環境温度を下げ室温に馴染ませると持続的な血管収縮が早期に改善され、生後1時間目から飲めるようになります(超早期経口栄養法)。

 黄疸が強く出ないためには生後1日目に約75ml/Kg/日(基礎代謝量)の母乳やミルクが必要です。健康な体重3Kgの生後1日目の赤ちゃんは、超早期経口栄養法では約200〜240ml/日のミルクを飲みますが、混合栄養法ではその約半量、完全母乳の最大哺乳量は初産婦で約30ml/日、経産婦で約50ml/日です。超早期経口栄養法で育った約5000人の赤ちゃんに重症黄疸の治療をした例はありません。

 赤ちゃんの保温が良いと言っても保育器の温度を上げ過ぎるのは危険です。次回は「暖め過ぎに注意」です。