赤ちゃんを守る無痛分娩
 欧米先進国のお産は、無痛分娩が一般的です。
 しかし、我国では昔も今も「お産は痛くて当たり前」、それを美徳と考え、自然のままの痛いお産が当たり前の様に行われています。お産の痛みのすべてを我慢させられたり、医療の手を一切加えないことを「自然分娩」と称し、いつの間にか「自然がベスト」と勘違いさせらているのではないでしょうか。
 分娩時の我慢できない痛みは、産婦の過呼吸を招き胎児仮死の原因となる低酸素血症を引き起こします(下図)。その時、麻酔によって痛みを取ると産婦の過呼吸は正常となり、子宮血流量は改善され胎児は再び元気を取り戻すのです。強過ぎるお産の痛みを我慢する事は、まさに百害あって一利無しなのです。
 無痛分娩はお産の痛みを取る事だけが目的ではなく、痛みに伴うストレスから赤ちゃんを守るためにも、また麻酔の持つ筋弛緩作用によって産道と会陰部の筋肉を和らげ、赤ちゃんをよりスムーズに娩出するためにも、現代のお産に産科麻酔は不可欠です。お産にも科学を導入し、安全で楽なお産を準備してあげることの方が、母児にとってより自然で、より安全なお産が期待出来るのです。