乳幼児突然死症候群はうつ熱時の「産熱抑制」が原因

□ はじめに

人間は、命ある限り『熱』を産生し続ける。しかし、何らかの理由で熱産生が減少し続けた時、生命は脅かされる。例えば、健康な乳幼児を高温多湿環境下に長時間放置した場合、児は体温上昇(うつ熱)を防ぐために放熱促進と産熱抑制機構を作動させる。大人は、この様な不快な環境に遭遇した時、冷暖房や衣服などで環境温度を快適に調節することが出来る。しかし、乳幼児は「暑い」・「寒い」を、言葉で発することが出来ないばかりか、自分の力で衣服(帽子、靴下)を脱いだり、フトンや暑い車の中から逃げ出すことが出来ない。我々大人は、乳幼児を不慮の事故から守るために、体温調節機構の異常はどんな時に発生し、生命維持装置にどの様な障害を引き起こすのか、を知って保育管理をしなければならない。何故ならば、病気と考えられている乳幼児突然死症候群(SIDS)は、児が「うつ熱状態」つまり産熱抑制機構(睡眠+筋弛緩+呼吸運動抑制)を強いられる高温環境(着せ過ぎ)に遭遇した時に発症するからである。


以下、見出しのみ

□ SIDSの病態を解明する
□ 赤ちゃんの体温調節の仕組み
□ 高温環境がバイタルサインと産熱機構に及ぼす影響
□ 高体温(うつ熱)が危険な理由
□ 「着せすぎ」に注意
□ SIDSの発生機序
□ 仰向け寝運動によってSIDSはなぜ減ったのか
□ 赤ちゃんをSIDSから守るために