新・発達障害(自閉症)の原因と予防



 
 昔(1993年以前)、日本には発達障害(自閉症)はほとんどいなかった。それは産湯(保温)と粉ミルクで出生直後の “寒さ”と “飢え”を防いでいたからである。近年のカンガルーケアと完全母乳は、出生直後の赤ちゃんを「低体温症」・「低血糖症」に陥らせ、脳に障害を遺した。それが原因不明の発達障害の本態である。赤ちゃんを発達障害から守る為には、日本の歴史的な産湯(保温)と粉ミルクを復活させ早期新生児の「低体温」と「低血糖」・「飢餓」を防ぐことである。出生直後のカンガルーケアと完全母乳を止めない限り、発達障害・児童虐待は増え続ける。何故ならば、食生活が豊かな日本には、子宮内に “隠れ” 糖尿病児(高インスリン血症児)が6人に一人と驚くほど多いからである。

新生児低血糖症を加速する「高インスリン血症児」は、日本で出生する赤ちゃんの約10%〜20%程度と予測される。高インスリン血症児を寒い分娩室でカンガルーケアと完全母乳で管理すると、児は確実に「低血糖症」に陥る。しかし、生まれる赤ちゃんのどの児が高インスリン血症児であるかの診断は出生前につかない。低血糖症は発達障害の危険因子であることから、国は全ての赤ちゃんを高インスリン血症児と見なして低血糖を未然に防止するための予防策を取り入れるべきである。高インスリン血症児はカンガルーケア(早期母子接触)と完全母乳の導入によって低血糖症に陥り、脳に永久的な障害(発達障害)を遺す。発達障害の原因が不明な理由は、低血糖症は症状が表に出ないからである。現代産科学は新生児の低体温症・低血糖症・飢餓(低栄養+脱水)を防ぐための管理を怠っている。これまで発達障害の原因が分らなかった理由は、周産期側からの調査研究を怠ってきたからである。WHO/ユニセフ/厚労省/医学会は、子宮内の “隠れ” 高インスリン血症児の存在を見逃している。厚労省は出生直後の寒い分娩室でのカンガルーケアと母乳が出ていない時(とくに生後3日間)の完全母乳を即刻中止させるべきである。



 正常成熟新生児に発達障害(自閉症)が増える理由

■現代産科学の “落とし穴” とは

日本の周産期医療は世界のトップクラスと言われるが、出生直後の正常成熟新生児に対する新生児管理は二流以下である。医療が進んだのは異常妊娠・異常分娩に対する管理、未熟児医療や先天的な心臓病などに対する外科的医療が進んだ事である。しかし、現代産科学は出生直後の正常新生児に対して、新生児管理の基本である体温管理・栄養管理を怠り、低体温・低血糖・飢餓(低栄養+脱水)・重症黄疸に陥らせている。この事が、日本で発達障害児が驚異的に増えた一番の要因である。NICUで管理された低出生体重児に発達障害児は増えていない。NICUでは体温管理(低体温の予防)・栄養管理(低血糖の予防)が厳重に行われるからである。つまり、正常成熟新生児に体温管理と栄養管理を低出生体重児の管理と同様に行えば発達障害は予防できるのである。発達障害は厚労省・学会の行き過ぎた母乳育児(カンガルーケア+完全母乳+母子同室)が引き起こしている。発達障害は遺伝性疾患ではない。

■厚労省の母乳促進運動が日本の “お産の常識” を変えた
1993年、厚労省がWHOの「母乳育児を成功させるための10カ条」を後援したのを契機に、日本のお産は様変わりした。歴史的な「産湯」の習慣は無くなり、出生直後からのカンガルーケアが当たり前となった。栄養面においても、母乳以外の糖水・人工乳を与えない完全母乳の分娩施設が「赤ちゃんに優しい病院」と認定される様になった。厚労省が完全母乳哺育を推進する以前は、母乳が出始めるまでの生後数日間、糖水・人工乳を足すのが当然であった。ところが、WHOの「医学的な必要がないのに母乳以外のもの、糖水、人工乳を与えないこと」が浸透するにつれて人工乳を飲ませない分娩施設(助産師)が急激に増えた。現代産科学は早期新生児の低体温症・低血糖症・飢餓を防ぐための新生児管理を怠っている。カンガルーケアと完全母乳を中止しない限り、発達障害は増え続ける (久保田)。 


































■発刊にあたって
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発達障害は遺伝ではない
















母乳推進運動が発達障害を増やす理由
































出生直後の寒さと飢餓が発達障害の要因

発達障害(自閉症)は、WHO/ユニセフが母乳推進運動をスタートして数年後から世界で増え始めた。米国では1975年、日本では1993年に、また福岡市では、出生直後のカンガルーケア(早期母子接触)が普及しはじめた時期(2007年)に一致して発達障害児が驚異的に増加した。世界に発達障害の原因解明に関する研究は多いが、予防策についての報告はない。そこで私は、発達障害は正常成熟新生児(2500g以上)に増加し、低出生体重児(2500g以下)に増えていないことに着目した。低出生体重児は出生直後から温かい保育器に入れ、低血糖・飢餓(低栄養+脱水)を防ぐために基礎代謝量(50Kcal/kg/day)に相当するカロリー・水を経静脈的に点滴をするが、正常成熟新生児に対しては母乳育児の3点セット(完全母乳+カンガルーケア+母子同室)の普及により、出生直後の体温管理(保温)・栄養管理(飢餓の予防)をしなくなったのが、日本で発達障害児が増える要因と考えた。私は、正常成熟新生児および低出生体重児に対する新生児管理法の違いの中に発達障害の原因と予防策が潜んでいると予測した。その他、発達障害は強度黄疸・光線療法で治療した新生児に高頻度に見られる事、肥満妊婦・帝王切開で生まれた赤ちゃんに自閉症児が生まれる確率が高い事にも注目した。

これまで発達障害の原因は、主に遺伝病説、ワクチン説などが報告されてきたが確証はなく、現在では否定的である。近年、早期新生児の低血糖症・重症黄疸・高Na血症性脱水が発達障害のリスク因子とする周産期側からの報告が目立って増えてきた。しかし、世界の産科学に、それらの危険因子を防ごうとする考えはない。そこで、低出生体重児に対して当たり前に行う体温管理(低体温の予防)と栄養管理(飢餓の予防)を正常成熟新生児に応用した時に、出生直後からの体温下降・初期嘔吐・血糖・黄疸・体重減少に及ぼす影響について検討した。その結果、低出生体重児に行う出生直後の体温管理(保育器内収容)と低血糖・飢餓を防ぐための栄養管理(人工乳を用いた超早期混合栄養法)を正常成熟新生児に導入することで、発達障害の危険因子(低血糖症・重症黄疸・高Na血症性脱水)はほぼ完全に防止し得ることが分かった。久保田式の出生直後の体温管理法(生後2時間 保育器内に収容する)と超早期混合栄養法(母乳の出が悪い時に人工乳を使用する)について以下に述べる。
 平成27年11月3日 (文化の日) 久保田史郎
 
 母乳促進運動の歴史

発達障害は出生直後の低体温と生後数日間の飢餓
(低栄養+脱水)を防げば、激減する!

福岡市の発達障害は母乳推進運動がスタートした1993年後から徐々に増え始め、 2007年のカンガルーケア(早期母子接触)導入を契機に驚異的に増加した。世界に発達障害の原因究明に関する研究は数多くあるが、予防法に関する研究は無い。新生児の体温調節と体重発育(栄養)に関する長年の研究から、出生直後の低体温症と生後数日間の飢餓(低栄養+脱水)が発達障害のリスク因子(低血糖症、重症黄疸、高Na血症性脱水)を増やしていることが分かった。当院では1983年の開業以来、約14.000人以上の新生児に対して低体温症を防ぐための生後2時間の「温めるケア」と母乳分泌不足による生後数日間の飢餓(基礎代謝量以下)を人工ミルクで補足してきたが、この二つの先制医療で発達障害のリスク因子をほぼ完全に防止することが出来た。この事を平成27年3月
12日、自由民主党本部の障害児者問題調査会(会長 衛藤晟一参議院議員)においてて講演した。 

 日本の分娩室(24℃〜26℃)は大人には快適である。しかし、温かい子宮内(38℃)から生まれたばかりの 裸同然の新生児には寒冷刺激(胎内と胎外の環境温度差)が強すぎるために、児は急激な体温下降( 2℃〜3℃)を余儀なくされる。現代産科学はそれを生理的体温下降と定義しているが、実際は体温管理(保温)が必要な病的な「低体温症」である。出生直後に体温管理(保温)を怠りカンガルーケアを長時間すると、新生児は生命維持に最も危険な肺高血圧症(チアノーゼ⇒心肺停止)と低血糖症(発達障害の危険因子)に陥らせる。またWHO/ユニセフの「母乳育児を成功させるための10か条」の第6条(医学的根拠なく、水・糖水・人工ミルクを飲ませるべきではない)は、新生児を低血糖症・重症黄疸・飢餓(低栄養+脱水)に陥れ、発達障害のリスク因子を増やしている。学会と厚労省は出生直後のカンガルーケアと完全母乳を推進しているが、カンガルーケアと母乳が十分にでない時期における完全母乳は児を低血糖症・飢餓状態(低栄養+脱水)に陥らせていることが分かった。学会と厚労省は医療従事者(産科医・新生児科医・助産師・学生)・関連の学会・保険所・報道などに対して、カンガルーケアと完全母乳の危険性を通達し、現代の行き過ぎた母乳推進運動に警鐘を鳴らすべきである。改善がなされなければ、発達障害(自閉症)はさらに増え続け少子化はさらに加速すると予測する。上記資料は、厚労省、日本医師会、日本産婦人科医会、福岡市にも報告した。                
 
 
 
発達障害から赤ちゃんを守るために
2014年3月19日

日本の赤ちゃん、飢餓(脱水+低栄養)に注意!

1.日本の赤ちゃん、飢餓(脱水+低栄養)に注意!
 出産当日、初産婦さんの母乳は全く出ないか、出ても滲む程度です。新生児が1日に必要とする最低限のカロリー(基礎代謝量=50kal/kg/day)に相当する母乳が出始めるのは、早くても3日目〜5日目位からが一般的です。すなわち母乳の出が悪い生後3日間を糖水・人工ミルクを全く飲ませなければ、完全母乳の赤ちゃんは容易に飢餓状態(脱水+栄養不足)に陥ります。体重が出生時から10%以上も減少するのは、赤ちゃんが飢餓状態に陥っていた証拠です。厚労省は母乳育児を推進するために−15%までの体重減少を生理的現象と考え、「授乳と離乳の支援ガイド」を公表しましたが、この支援ガイドが発達障害のリスク(低血糖症・高Na血症性脱水・重症黄疸)を増やす要因になっているのです。厚労省の「授乳と離乳の支援ガイド」が赤ちゃんに安全かどうかを検証します。

2.「脱水」は発達障害の危険因子
3.完全母乳哺育にもinformed consent (告知と同意)をとるべき
4.新生児の体重減少について
5.NICU不足を加速する完全母乳とカンガルーケア(早期母子接触)
6.「3日分の水筒と弁当」説に、科学的根拠なし!

 
厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」の問題点

「授乳・離乳の支援ガイド」が出来るまでの経緯
―策定委員会の問題点―

久保田史郎 2013年3月21日

■生理的体重減少とは何か?

厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、安全性を無視した、危険極まりない支援ガイドである事が厚労省の議事録から読み取れる。朝倉委員、今村委員の二人の産婦人科医は、完全母乳とカンガルーケアを積極的に推進する宮下委員(助産師)の発言に、安全性が確かめられていない、時期尚早と、宮下委員の発言に反対していた。

宮下委員の問題点は、完全母乳哺育における新生児の生理的体重減少率の最低ラインを15%とする、と発言している事である。一助産師である宮下委員が科学的根拠もなく、なぜ15%と発言したのか、15%の出所はどこか、15%の何が問題か、その答えは、赤ちゃんに優しい病院(BFH)の内部資料、日本小児科学会雑誌(第114巻 No12 2010)の論文にある。10%以上の体重減少とは、新生児が飢餓状態に陥っている事を意味しているのである。つまり厚労省の「授乳と離乳の支援ガイド」は、発達障害の危険因子そのものである。


■完全母乳哺育の問題点

下記の�@〜�Cは、発達障害の原因(危険因子)である。座長の柳沢委員(元東大小児科教授)は小児科医であるにもかかわらず、宮下委員の生理的体重減少率の最低ラインを15%の発言に、なぜストップをかけなかったのかが問題である。
�@高Na血症性脱水 その1、その2
�A低血糖症 その1、その2 その3
�B重症黄疸 その1、その2
�C低栄養 その1、その2

■生理的体重減少について(久保田産婦人科麻酔科医院)

■出生直後のカンガルーケアの問題点

■福岡市における障害種別の年次推移

また宮下委員は、カンガルーケア中の心肺停止事故の報告を受けて、肌と肌の触れ合いの部分で、 “言葉の使い方を変えて”載せられるとよいのではないかと思います、と発言している。平成24年10月17日のカンガルーケアから早期母子接触への名称変更が宮下委員の言葉の使い方を変えただけなのである。名称が変わっただけで、本質的な中身は何も変わっていない。策定委員会の問題点は、朝倉委員、今村委員が時期尚早と警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、厚労省が検証もせず、低体温症・低血糖症から赤ちゃんを守る安全対策が欠如した支援ガイドを、なぜ慌てて発表したのか、策定委員会の責任は大きい。早期母子接触と名称変更を発表した学会の「早期母子接触」実施の留意点には、生後間もない赤ちゃんの低体温症・低血糖症・高Na血症性脱水・飢餓を防ぐための安全対策は全く無い。名称変更だけでは、心肺停止事故・発達障害児の増加に歯止めは掛からない(久保田)。

第1回「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会 議事録

第4回「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会 議事録から抜粋

第5回「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会 議事録

「授乳・離乳の支援ガイド」策定委員会の名簿




●保育器の中で糖水を飲む赤ちゃん(生後1時間目)動画
●5%糖水25ccを飲んだ後に温かい保育器の中で穏やかに音楽を聴く赤ちゃん動画


科学的根拠に基いた新生児の体温管理(保温)と超早期混合栄養法
久保田式の未来型 新生児管理法とは


はじめに
厚労省が母乳促進運動を積極的に始めてから、完全母乳哺育と出生直後のカンガルーケア(早期母子接触)が当たり前になりました。しかし、久保田産婦人科麻酔科医院では1983年の開業以来、母乳が出始めるまでの生後3日〜5日間、赤ちゃんの脱水と栄養不足を防ぐために母乳を吸わせた後に、人工乳を必ず飲ませています。母乳の分泌不足を補足するためです。勿論、赤ちゃんを冷やす出生直後のカンガルーケアと母親が寝るべき深夜帯の母子同室は絶対に行いません。母親が赤ちゃんの世話で睡眠不足になると、母乳の出が悪くなるからです。当院では、お産の疲れがとれるまでは、赤ちゃんのお世話は児に安全で快適な新生児室で当院スタッフが全身の管理を行います。正常と異常の判別がつかない素人の母親に、深夜帯も赤ちゃんの体温・栄養・呼吸などの全身管理を任せるのは危険だからです。出生直後の赤ちゃんは呼吸循環動態が不安定と厚労省が言う様に、カンガルーケア中の心肺停止事故の殆どは、生後12時間以内の、最も体温と血糖値が低下する分娩室・母子同室中に発生し、しかも深夜に多いからです。また、カンガルーケア中の心肺停止事故は、母乳育児の3点セット(カンガルーケア・完全母乳・母子同室)を積極的に行う赤ちゃんに優しい病院(BFH)に集中して起きていることが分かっています。しかし、その事実は意外に知られていません。厚労省はBFHに認定された施設が本当に赤ちゃんに優しい病院か、なぜBFHに心肺停止事故が集中するのかを検証すべきです。

1.超早期混合栄養のメリット・デメリット
2.新生児の初期嘔吐は、冷え症(末梢血管収縮)が原因
3.現代産科学の初歩的ミス
4.重症黄疸は、発達障害(自閉症)の危険因子
5.発達障害(自閉症)の原因は、遺伝・ワクチンではない
6.安産と難産、母乳と人工乳
7.出生直後のカンガルーケアと完全母乳哺育は、百害あって一利なし
8.「授乳と離乳の支援ガイド」の見直しを

発達障害(自閉症)の原因と予防法について
九州学士会 平成24年11月21日 天神ビル8階


「産婦人科医の立場から、日本の将来を考える」
 〜わが国の少子化対策、増え続ける発達障害児、周産期医療の危機など〜

九州学士会にて発表
 開催日 平成24年11月21日 天神ビル8階
久保田産婦人科麻酔科医院
院長 久保田史郎

はじめに
日本の少子高齢化・社会福祉費の増加・税収減少が進む中で、昨今の発達障害児の驚異的な増加は、少子化をさらに加速、日本経済にとって致命的である。発達障害は精神科医・小児科医・生理学者らを中心に原因解明が進められているが、肝心の周産期医療(産科)側からの調査研究は無い。福岡市では、厚労省が母乳育児推進運動(完全母乳+出生直後のカンガルーケア)を始めてから、発達障害児が驚異的に増加している事が分かった。国の母乳育児推進運動のどこに危険が潜んでいるのか、発達障害の危険因子と予防策について周産期医療(産科)側から報告する。

1、予測していた発達障害児の増加
産科医である私は、1983年の開業当初、日本では新生児の低血糖症・低栄養による障害児が増える事を予測していた。その理由は、厚労省が1975年に出生後1,5ヶ月までは、母乳のみで育てましょう、と言い出したからである。1993年には、医学的な必要がないのに母乳以外のもの、水分、糖水、人工乳を与えないこと、所謂、WHO/UNICEFの「母乳育児を成功させるための10カ条」の後援活動を始めたことで、事態はより深刻となった。母乳が出生直後から十分に出るならば、厚労省の完全母乳哺育で問題はない。しかし、産後24時間以内は、母乳は滲む程度しか出ない。新生児が生きるために必要な最小限のカロリー(基礎代謝量:50Kcal/kg/day)に相当する母乳が出るのは、早くても3日目以降(平均4〜5日目)からである。私は、糖水、人工乳を全く与えない完全母乳栄養児は、生後3日間は飢餓状態に陥り、脳神経発達に害を与える危険性があると、厚労省の完全母乳哺育に警鐘を鳴らしていた。

2、発達障害は遺伝性疾患ではない

福岡市の発達障害児の年次推移(図1)によると、平成23年度の発達障害児数は647人、平成元年の33人から22年間で約20倍に増加した。発達障害の原因は諸説あるが、日本では遺伝病説が根強い。福岡市の発達障害の驚異的な増加から推測すると、発達障害は遺伝性疾患とは考えにくい。その理由は、発達障害は厚労省が母乳育児支援(完全母乳)を推進した1993年以降から増え始め、カンガルーケア(早期母児接触)を積極的に推進した2007年以降から驚異的な速さで増加しているからである。また、政令7都市の療育センター新規受診者の中、発達障害の占める割合に地域間較差がある。横浜、名古屋、京都に多く、札幌市はそれらの都市に比べ、約1/10以下と極端に少ない(図2)。発達障害が遺伝性疾患ならば、地域間で、この様な違いが出る筈はない。さらに、福岡市では、発達障害の発生頻度に分娩施設間で有意差がある事を、福岡市立こども病院・福岡市立心身障害福祉センターの医師らが、日本小児神経学会で発表(2008年)していた。以上の調査結果(図1・図2・図3)から、発達障害は遺伝性疾患ではなく、分娩施設の新生児管理の違いの中に、発達障害の危険因子(低血糖症)が潜んでいると考えられた。

図1



図2


3、厚労省の母乳促進運動が日本のお産の歴史を変えた
1993年、厚生労働省がWHO/ユニセフの「母乳育児を成功させるための10カ条」
を後援したのを契機に、日本のお産は大きく様変わりした。我国の歴史的な「産湯」の習慣は無くなり、寒い分娩室での出生直後からのカンガルーケア(早期母子接触)が当たり前となった。栄養面においても、乳母・もらい乳の慣習も消え、母乳以外の糖水・人工乳を与えない完全母乳の産科施設が「赤ちゃんに優しい病院」と認定される様になった。厚労省が完全母乳哺育を推進する以前は、母乳が出始めるまでの生後数日間、糖水や人工乳を足すのが当たり前であった。ところが、WHO・ユニセフの「医学的な必要がないのに母乳以外のもの、水分、糖水、人工乳を与えないこと」が普及するにつれて、日本では糖水・人工乳を飲ませない産科施設(助産師)が急激に増えた。厚労省の「授乳と離乳の支援ガイド」の問題点は、発達障害の危険因子である新生児の低体温症・低血糖症・低栄養(飢餓・脱水)・重症黄疸を防ぐための安全対策が欠如している事で、これは親にとって切実な問題である。



4、生後3日間の栄養不足(飢餓)は発達障害の危険因子
日本の助産師は、赤ちゃんは「3日分の水筒と弁当」を持って生れてくるので、母乳が出ない生後3日間は体重が−15%まで減っても、糖水・人工ミルクを補足する必要がないと云う。ところが、その「3日分の水筒と弁当説」には科学的根拠がなく、母親からの栄養補給を断たれ、人工乳を飲ませない完全母乳の赤ちゃんは、母乳が出始めるまでの生後数日間は飢餓状態にある。赤ちゃんの体重が出生時から10%以上も減少するのは母乳分泌不足による低栄養と脱水が原因である。



5、完全母乳哺育で、高ナトリウム血症性脱水の新生児が増加
赤ちゃんに優しい病院(BFH)である富山県立中央病院の小児科医師グループは、「10%以上の体重減少をきたした完全母乳栄養児における高ナトリウム血症性脱水の発症状況」 と題して、日本小児科学会雑誌 Vol.114, No.12 (2010.) に以下の論文を発表した。
要旨(論文引用)
母乳育児は世界中で広く勧められているが、近年,欧米から母乳栄養児が高ナトリウム血症性脱水に罹患し,時には致死的な合併症や神経学的後遺症を残したとの報告が散見される。完全母乳栄養児における高Na血症性脱水罹患の頻度や特徴について検討した。10%以上の体重減少を来した母乳栄養児の4割弱に高Na血症が存在していることが示唆された.一方、トルコでは、入院を要する高ナトリウム血症性脱水を発症した母乳栄養児116人うち、半数以上で1歳以降に何らかの発達障害を認めた。結語、母乳栄養に伴う高ナトリウム血症性脱水存在を認識し、特に脱水が疑われた場合には積極的な介入が必要であると結んだ。


6、まとめ

新生児の低血糖症・低栄養・脱水・重症黄疸・脳出血が脳に障害を与える危険性のある事は医学的常識である。寒い分娩室に生まれ、熱産生に最も栄養(糖分)が必要な時期に、なぜ基礎代謝量に見合う人工乳を与えないのか、安全性を無視した国の「授乳と離乳の支援ガイド」に問題がある。動物実験では、生後数日間の栄養不足が脳神経の発達に害を及ぼす事が報告されている。人間の発達障害の増加を防止するためには、出生直後の低血糖症・高ナトリウム血症性脱水を防ぎ、母乳が満足に出始めるまでの生後数日間の低栄養を人工ミルクなどで補うべきある。発達障害児防止策のポイントは、特に生後3日間の体重減少を如何に少なくするかである。当院が生後1時間目から糖水・人工乳を飲ませる理由は、発達障害の危険因子である低血糖症・重症黄疸・脳出血を防ぐために、医学的に超早期混合栄養法が必要と判断したからである。

発達障害を防ぐ当院の体温管理と栄養法
■ 当院の新生児管理の特徴

■ 環境温度(寒冷刺激)が赤ちゃんの体温調節、糖代謝に及ぼす影響

■ 日本の分娩室は、赤ちゃんに寒過ぎる

■ 発達障害の原因と予防法について

■ 早期新生児の低血糖症は発達障害(自閉症)の危険因子

■ 低血糖症の原因

■ 体温管理(保温)の目的

■ 環境温度が糖代謝(血糖値)に及ぼす影響

■ 産湯と乳母は予防医学のはじまり

■ 予測していた発達障害の増加

■ 保育器で元気に 山蔭道明・札幌医科大学(麻酔学講座)の話
茨聡・鹿児島市立病院(新生児センター長)の話
毎日新聞記者 米岡絋子

■ 第21回 鹿児島県母性衛生学会 特別講演 2008年8月
環境温度が赤ちゃんの体温調節機構に及ぼす影響
1.生後30分以内のカンガルーケアの問題点
2.乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因と予防法

■ 第16回日本母乳哺育学会(東京)2001年9月22日
「完全母乳栄養の抱える問題点」


■ 臨床体温 23巻1号 2005年
環境温度が赤ちゃんの体温調節機構に及ぼす影響について


■ 日本小児麻酔学会誌 Vol.9 Number1 2003
環境温度が赤ちゃんの体温調節機構に及ぼす影響